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同じ許容応力度計算(耐震等級3)でも差がある?

2026.08.19(Wed)

スタッフブログ

同じ許容応力度計算(耐震等級3)でも差がある?

「耐震等級3」という言葉は最近よく耳にするようになりましたが、同じ耐震等級3でも、その根拠となる計算方法や施工の質によって、建物の安全性には差が出ることがあります。

目次

  1. そもそも、なんのために構造計算をするのか
  2. 耐震等級1(基準法レベル)の実態
  3. 許容応力度計算の本当の目的
  4. 「許容応力度計算 耐震等級3」の表示だけでは分からないこと
  5. 計算書そのものの質
  6. 施工の質
  7. 大事なのは「計算」と「施工」がセットであること
  8. 施主を守るために、確認しておきたいこと
  9. 正しく計算するために
  10. 正しく施工するために
  11. まとめ

そもそも、なんのために構造計算をするのか

構造計算をする目的は、突き詰めれば「お客様の命を守るため」です。ただ、誤解を恐れずに言うと、それだけであれば建築基準法レベル(耐震等級1)でも達成できるかもしれません。

耐震等級1(基準法レベル)の実態

耐震等級1は、大地震に対して倒壊・崩壊をしない程度、という設定になっています。ボロボロにはなるけれど、一度の被災には耐えられるレベル、と言い換えることもできます。
つまり、大きな地震に遭った住宅は、すぐに建て替えが必要になる可能性がある、ということです。

許容応力度計算の本当の目的

許容応力度計算を行う本当の目的は、繰り返しの地震に耐えられる強度を持たせることと、気密・断熱・防水といった建物の性能を、地震の後も保ち続けられるようにすることにあります。
「許容応力度計算を行っている」というラベルそのものが目的ではないはずです。

「許容応力度計算 耐震等級3」の表示だけでは分からないこと

近年、「許容応力度計算による耐震等級3」を標準仕様として掲げる工務店・ハウスメーカーが増えてきました。ですが、同じ表示であっても、どの会社で建てても同じ性能とは限りません。

計算書そのものの質

理由の一つは、計算書そのものの質です。一貫構造計算プログラムを使っていても、仮定荷重の入力ミス、基礎の2次梁の検討漏れ、耐風梁の検討漏れなど、プログラムだけでは拾いきれない検討漏れが起こり得ます。
審査機関の主な仕事は図面の整合チェックであり、計算の質そのものまで保証してくれるわけではありません。

施工の質

もう一つの理由は、施工の質です。横架材金物の不足、剛床仮定が成り立っていない床構面、基礎配筋の定着不足など、計算書の内容と現場の施工とで乖離が生じることがあります。
構造計算の意図を計算書から読み取って現場に反映するのは簡単ではなく、施工業者や職人さんに丸投げにしてしまうのは避けたいところです。

大事なのは「計算」と「施工」がセットであること

①正しく計算された構造計算書と、②その計算書通りの施工。この2つが揃って、初めて「許容応力度計算 耐震等級3」の家と言えます。
どちらか一方が欠けていては、本来の目的である「性能を保ち続けられる家」には近づけません。

施主を守るために、確認しておきたいこと

正しく計算し、正しく施工してもらうために、確認しておきたいポイントをご紹介します。

正しく計算するために

正しく計算するためには、そもそも別途モデル化が必要になるような無理のあるプランニングを避けることに加えて、構造計算書の検品が欠かせません。
計算実務を自分で行わないにしても、応力が大きくなりそうな部分についてどのような方針で計算したのかを、計算者に確認してみることをおすすめします。構造計算書は納品して終わり、受け取って終わりではなく、そこから先のコミュニケーションが大切です。

正しく施工するために

正しく施工するためには、計算の意図が現場に正しく伝わる構造図を作成することが重要です。特に基礎配筋は計算書だけでは読み取りにくく、鉄筋が実際に納まるか、かぶり厚が確保できるかといった点も含めて確認が必要です。
構造伏図とプレカット図の整合性も見落とされがちなポイントで、垂木ビスや床構面の仕様、横架材金物の整合が取れていないケースも少なくありません。計算者に構造に関する工事監理まで依頼してしまう、というのも一つの手です。

まとめ

「どのようなプランでも許容応力度計算をしていればOK」ではなく、複雑な建物ほど力学の知識とモデル化への理解が求められます。構造計算は、どこに依頼しても同じものが出来上がるわけではありません。
断熱性能を高め、環境貢献や資産価値を謳う住宅が増えてきているのは、素晴らしいことだと感じています。ただ、地震大国である日本においては、その性能をできる限り長く保ち続けられるよう、正しい構造設計と正しい施工をセットで実現することが欠かせません。
弊社では、住宅の設計・構造計算のご依頼を頂く際、基本的に全棟で許容応力度計算を行っています。
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