弊社では、設計させて頂く家の外皮性能や熱負荷をもとに空調設計も行います。
(※元請けさまとの業務提携内容にもよります)
具体的には、例えば冬の場合、
室内から外へ逃げていってしまう熱損失をまず計算します。
これは大きく分けて2つあり、「屋根や外壁から逃げる熱損失」「換気による熱損失」です。
当然これは計算したい時間帯の外気温・湿度などに左右されます。
続いて、熱の取得分を計算します。
これも大きく分けて2つ。「窓から入る日射取得」と「内部発熱」です。
これも計算したい時間帯によって日射量や内部発熱量が変わるので注意です。
↓↓↓設備容量を決めるために実際に負荷計算を行ったエクセルシート
一般社団法人ミライの住宅「負荷計算シート」
このように熱のマイナス分と熱のプラス分を計算して、足りない分をエアコンなどで補うことになります。
これでようやくエアコンなどの設備容量が決まってくるわけですね。
もうご存知の方も増えてきましたが、エアコンのカタログにある畳数表記でサイズを選んでしまうと
最近の新築の性能に対してはオーバースペックになる場合が多いです。
暖房設備としてのエアコンの場合は、多少オーバースペック気味でも問題ないのですが、
悩ましいのが冷房エアコンなのです。
これがオーバースペック気味だと、部屋を短時間で冷やした後、エアコンが休憩します。
冷房と同時に除湿しようとして取り除いた室内空気の水分が休憩中のエアコンに溜まったままになり、
徐々に室内に水分が戻ってきてしまうわけです。
大きいエアコンをつけたのに、なんだか部屋がジメジメする・・・という原因の多くがこれです。
このような失敗を避けるために、空調設計と設備選定が大切なのです。
また、最近流行りの「床下エアコン」や「小屋裏エアコン」についても、
きちんと空気の流れとその量を計算して計画しないと上手く暖まらない、冷えないという事態が起こります。
新築の計画を考え始めて情報収集をしていくと、どうしてもインスタなどの影響を受けやすくて
視覚的な要望ばかりが先行して高まりやすい環境なのかなと感じます。
見た目やデザインも確かに大切ですが、構造強度や室内環境についての性能面とも両立して計画していかないと
「かっこいいけど寒い家」「可愛いけど強度が低い家」なんかが出来上がってしまうことになります。