最近のお客様との打ち合わせで、照明計画の話になりました。
せっかくなので、今日はそのあたりのことをブログに書いてみようと思います。
間取りがある程度固まってくると、次に出てくるのがインテリアや照明の話。
「ここはダウンライト何個にしましょうか」「この部屋、シーリングライトでいいですか」みたいなやりとりを、一つずつ進めていくことになります。
正直に言うと、僕はこの段階でいつも同じことを思っています。
照明って、数を付ければいいというものじゃないんですよね。
暗い家がいいと言いたいわけじゃないです。必要な場所はちゃんと明るくしたい。
ただ、家全体をとにかく均一に明るくすることだけを目的にしてしまうと、せっかく時間をかけてつくった空間が、なんだかもったいない仕上がりになってしまうことがあります。
目次
よくある「NG照明」、その特徴
シーリングライトだけの部屋
一番よくあるのが、部屋の真ん中にシーリングライトを一つだけ付けて、部屋全体を明るくするパターン。
配線もシンプルでコストも抑えられるので、正直かなり選ばれやすい方法だと思います。
ただ、これだと部屋のどこに立っても同じ明るさになってしまって、陰影がまったく出ません。せっかくこだわって選んだ木目や素材の質感も、このフラットな光の下だとなんだか伝わりにくくなってしまうんですよね。
ダウンライトを並べただけの部屋
見た目がすっきりするので人気のダウンライトも、数を増やしすぎると天井に小さな照明がずらっと並ぶことになります。
実はこれ、結局のところ部屋全体を均一に明るくしているだけなので、シーリングライト一つの時とやってることはあまり変わりません。
素敵な天井材を選んだはずなのに、いつの間にか照明の方が主張してしまっている、なんてことも起きがちです。
心地よい照明計画の考え方
「どう過ごすか」から照明を考える
僕がいつも大事にしているのは、「まず照明を決める」んじゃなくて、「そこでどう過ごすか」を先に考えることです。
リビングを例にすると、ソファでテレビを見る時間もあれば、ダイニングで家族とご飯を食べる時間もある。夜、照明を落としてゆっくりする時間だってあるはずです。
それを全部同じ明るさで処理しようとするから、なんだか味気なくなってしまうんだと思います。
必要な場所だけを照らせば、自然と部屋の中に明るいところと暗いところが生まれます。
この明暗こそが、夜の家に落ち着きとか奥行きをつくってくれるものだと、僕は考えています。
「一室一燈」から自由になり、光源を散らす
部屋の真ん中に一つだけ照明を付ける「一室一燈」も、ダウンライトをたくさん並べる方法も、根っこにあるのは同じで「部屋全体を均一に明るくしたい」という発想です。
でも、せっかく新しく家を建てるなら、そこはもう少し自由に考えていいと僕は思っています。
部屋の真ん中だけじゃなく、壁際や家具のそばにも小さな光を置いてみる。
ペンダントライト、フロアライト、デスクライト……高さも種類もバラバラな光源を組み合わせるだけで、空間の雰囲気は一気に変わります。
一つの照明でまとめて明るくするんじゃなく、小さな光をあちこちに点在させる。そう考えると、照明計画って意外と考えやすくなるんじゃないかなと思います。
実践のためのポイント
明暗と光の”重心”を意識する
「暗いのはちょっと不安」という声、実はよく聞きます。でも僕は、明暗があることをもっと前向きに捉えてほしいなと思っていて。
明るい場所と暗い場所が共存しているからこそ、部屋に落ち着きや奥行きが出てくるんです。
余談ですが、海外のホテルによくある間接照明中心の照明計画って、欧米の方の目には心地よく映るらしいんですが、黒目の日本人にはちょっと暗く感じやすいとも言われています。
年齢を重ねると視力の低下で必要な明るさも増えていくので、後から明るさを調整できる調光タイプにしておくと安心材料になると思います。
もう一つ意識してほしいのが、光の高さです。頭の真上から強い光を浴びると、人はどうしても覚醒しやすくなるらしいんです。オフィスの照明を思い浮かべてもらうと分かりやすいかもしれません。
夜、家でゆっくりしたい時間帯は、光の「重心」をできるだけ下げてあげるのがおすすめです。ランプや暖炉みたいに、目線の高さか、それより低い位置に光源があると、自然と心と体がリラックスモードに切り替わっていきます。
色温度は3000K程度の「電球色」がおすすめ
照明の色味、いわゆる色温度も雰囲気づくりにかなり関わってきます。
僕がリビングみたいなくつろぐ空間でよくおすすめしているのは、3000K程度の「電球色」です。ランプや暖炉の炎に近い色で、感覚的にも心が落ち着きやすい色だなと感じています。
反対に6000K程度の「昼光色」は、どうしてもオフィスっぽい印象になりがちです。
細かい書類仕事をする部屋なら向いていますが、家族でくつろぐリビングにはあまり向かないかなというのが正直なところ。
もちろん好みの部分もあるので、「その部屋で何をしたいか」から逆算して考えてみるのがいいと思います。
良い例「間接照明」で”明暗”を演出した部屋
実際に、間接照明やペンダントライト、フロアランプを組み合わせて、必要な場所だけを照らしてみるとこんな感じになります。
部屋の中に明るいところと暗いところが自然に生まれて、その明暗が夜の家に落ち着きと奥行きをつくってくれています。
照明器具は買い足していけばOK
「照明計画」と聞くと、家を建てるときに全部決めきらないといけない気がしてしまいますが、実はそんなことはありません。
照明は住み始めてから買い足していきながら、少しずつ好みの明るさに近づけていくものだと僕は思っています。
引っ越したばかりの頃は最低限の照明だけにしておいて、暮らしながら「ここにもう少し灯りがほしいな」と感じた場所に、フロアライトやスタンドライトを足していく。
そのくらい気長に付き合うのも、照明計画の楽しみ方の一つだと思います。
家は昼間だけ過ごす場所じゃないですよね。仕事や学校から帰ってきて、家族とゆっくり過ごす夜の時間こそ、家の心地よさを一番感じる時間なんじゃないかと僕は思っています。
だからこそ、「明るい家」より「心地よく照らされた家」をつくりたい。
照明はたくさん付けることが正解じゃありません。少し減らしてみる。必要な場所だけ照らしてみる。暗いところをあえて残してみる。
それだけで、家の雰囲気はけっこう変わるものです。
これから照明計画をする方には、「ここ、照明は本当に必要かな?」と一度立ち止まって考えてみてほしいです。
せっかく一からつくる家だからこそ、明るさだけじゃなく、光のある暮らしまで一緒に考えてみませんか。